1. 人工飼料育蚕5齢幼虫の脂肪体のアルギナーゼの細胞内局在性 人工飼料育蚕の5齢幼虫の脂肪体のアルギナーゼの細胞内局在性を調査した。等張溶媒ならびに低張溶媒それに高張溶媒を用いて脂肪体組織を磨砕し、分画遠心法により、核分画、ミトコンドリア分画、ポストミトコンドリア分画に分け、各分画のアルギナーゼ活性、蛋白量を測定した。いずれの溶媒を用いても、アルギナーゼの比活性はミトコンドリア分画が高く、ついでポストミトコンドリア分画にかなり高い活性が認められた。ミトコンドリア分画の純度はチトクロームCオキシダーゼの比活性によって判定した。以上の結果は人工飼料育蚕の5齢幼虫の脂肪体のアルギナーゼは少なくともミトコンドリアに局在していることを示すものと考えられた。ミトコンドリアの分画を行うことによって、アルギナーゼはミトコンドリアのマトリックスに局在することが明らかとなった。一方、ポストミトコンドリア画分のアルギナーゼ活性は、等張液を用いて組織を磨砕してもポストミトコンドリア分画に現れ、最初から細胞質に局在するアルギナーゼが存在する可能性が考えられた。この点は今後脂肪体細胞の種々の磨砕法を試みることによって更に検討する必要がある。 2. 人工飼料育蚕5齢幼虫の脂肪体のアルギナーゼの単離・精製 人工飼料育蚕の5齢幼虫の脂肪体のミトコンドリアマトリックスよりアルギナーゼを単離する方法を確立した。単一の蛋白質としてアルギナーゼを精製する方法は未だ確立できていない。
|