研究課題/領域番号 |
06660079
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
王子 善清 神戸大学, 農学部, 教授 (90031195)
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研究分担者 |
末吉 邦 神戸大学, 農学部, 助手 (10216278)
杉本 敏男 神戸大学, 農学部, 助教授 (70240851)
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キーワード | コマツナ / 硝酸還元酵素 / 光環境 / リン酸化・脱リン酸化 / プロテインキナーゼ阻害剤 / プロテインフォスファターゼ阻害剤 |
研究概要 |
高等植物の硝酸還元酵素(NR)は光(明暗)環境の変化に伴ってリン酸化・脱リン酸化を受け、その活性を微妙に調節していることを確証するため、コマツナ葉を供試してin vivo及びin vitroでプロテインキナーゼとプロテインホスファターゼの阻害剤を活用して検証を行った。まず、in vivoの実験で、暗処理によるNRのマグネシウム感受性の増大、再度の明処理によるその消失を確認した。ついで、明処理葉を遮光したとき、また暗処理葉を光量を変えて照射したときには遮光及び照射強度に応じてNRのMg感受性が変わることを確認した。暗処理によるNRのMg感受性の増大はリン酸化の阻害剤であるマンノースを予め与えておくと観察されないし、また脱リン酸化の阻害剤であるカリキュリンAを予め与えた暗処理葉を明所に移したときにはMg感受性の消失が認められなかった。次いでin vitroの実験で、葉抽出液をATPとMgの存在下で20度でインキュベイトするとNRのMg感受性が増大し、この増大をリン酸化の阻害剤(K-252a)が阻害した。-^<32>P ATPとインキュベイトすると、-^<32>PがNR分子に取り込まれ、この取り込みをK-252aが阻害した。さらに、暗処理葉抽出液を30度でインキュベイトするとMg感受性が減少し、この減少をカリキュリンAが阻害した。 以上によって、コマツナNRは暗所でリン酸化され不活性型になり、明所で脱リン酸化され活性型に戻ることが判明した。すなわち硝酸同化の鍵酵素であるNRは明暗環境の変化に対応してリン酸化・脱リン酸化されることによってその活性が微調整されていることがわかった。
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