研究課題/領域番号 |
06660080
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
柴坂 三根夫 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (60226165)
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研究分担者 |
且原 真木 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (00211847)
中島 進 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (60033122)
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キーワード | アツケシソウ / ATPase / 塩ストレス / オオムギ / 原形質膜 / 糖リン酸 |
研究概要 |
本研究は、塩生植物アツケシソウ根細胞膜の耐塩性に関わる特性を中生植物との比較において明らかにすることにある。本年度は、1.塩類高濃度条件での中生植物根細胞膜の健全性の損傷を具体的な物質的変化として示すこと、2.また細胞膜の健全性の損傷が、どういう物質をどの程度流出させるのかを明らかにすることが計画の中心であった。 1.根の切断端をワセリンで隔離して、高濃度NaCl処理によって切断端以外を浸している溶液に出現するタンパク質を定量した結果、オオムギの根とアツケシソウの根では、剥離してくる表在性タンパク質量に大きな違いが見られた。但し、ここでいう表在性とは実験条件から考えて、細胞膜表面に限られたものではなく、細胞壁タンパク質も含まれていると思われる。アツケシソウでは高濃度NaCl処理ではほとんど表在性タンパク質の剥離が見られなかった。現在、このタンパク質の解析を進めている。また、原形質膜ATPaseアポタンパク質はオオムギでは大きく減少し、アツケシソウでは増加した。これは健全性を喪失した細胞膜は膜蛋白質の新たな組み込みができなくなっていることを示唆している。 2.根からの物質の漏出に関してはNMRの結果から予想された、グルコース6リン酸について解析した結果、オオムギではNaCl濃度が高くなるにつれてG6Pが外液にたくさん検出され、500Mm NaClでは無処理対照区の3倍のレベルに達するのに対し、アツケシソウではむしろG6Pの漏出は抑制された。オオムギ根の^<31>P-NMRスペクトルの観察における高濃度NaCl処理による糖リン酸由来シグナルの減少は、細胞膜からの漏れだしが大きく寄与していると結論される。
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