研究概要 |
ペニシロライシン(Penicillolysin)は従来からよく知られた金属プロテアーゼのサーモライシン(EC3.4.24.27)に代表されるサーモライシン・フアミリ-の酵素とは全く異なり,177残基のアミノ酸からなる相対分子質量18,529の低分子の酵素で,1モル当り1グラム原子のZn^<2+>を持ち、等電点は9・6の酵素である。基質特異性はサーモライシンと異なり,ロイシン,チロシン,フェニルアラニン,トリプトファンなどの疎水性アミノ酸のカルボキシル基側を加水分解するほか,Pro-Xaa結合やArg-Arg結合を特異的に加水分解する。さらにペニシロライシンは相対分子質量を識別し,低分子のオリゴペプチドをよく加水分解する。国際酵素委員会のEC番号4つの性質を兼ね備えている。 本研究は,ペニシロライシン遺伝子(plnC)CDNAクローンの単離並びに全塩基配列の決定をしているので,plnC遺伝子の発現系の構築,そしてplnC遺伝子の部位特異的変異による蛋白質工学的手法によりZn-結合部位並びに触媒部位残基を特定することを目的としている。 plnCの発現は酵母により成功した.Zn^<2+>添加の有無で,活性のある成熟型酵母の存在がPEGE的に明らかにあることが出来,さらにプレイトアッセイで確認した。 部位特異的変異によりHis-128,His-132をZn^<2+>結合サイドと固定した。さらに,Glu-129は活性中心であることを明らかにした。HEXXHのモチーフを明らかにした。しかし,その外に2残基の活性に重要なアスパラギン酸の存在を明らかにした。この発明ははじめてのものである。
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