研究課題/領域番号 |
06660101
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 達彦 京都大学, 農学部, 講師 (70221976)
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研究分担者 |
片岡 道彦 京都大学, 農学部, 助手 (90252494)
清水 昌 京都大学, 農学部, 教授 (70093250)
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キーワード | ニトリルヒドラターゼ / 遺伝子 / 誘導 / クロトンアミド / 塩基配列 |
研究概要 |
アクリルアミド工業生産菌Rhodococcus rhodochrous J1が生成する低分子量型ニトリルヒドラターゼ(L-NHase)の遺伝子レベルでの構造と発現機構の解析を行った。先ず、L-NHaseの誘導発現に関わる領域を特定するため、種々のデリーションフラグメントを作製し、Rhodococcusの宿主ベクター系を用いて解析した。各形質転換体のNHase活性をベンゾニトリルを基質として測定したところ、L-NHase遺伝子(nhlBA)より上流部分を少なくとも約3.5kb含むクローンは全てインデューサーであるクロトンアミドによりL-NHaseを誘導生成したのに対し、上流領域をさらに切り縮めたクローンはクロトンアミドの有無に関わらずL-NHaseが構成的に発現した。クロトンアミドによる誘導発現に関わる上流領域の塩基配列を決定し、塩基配列から予想されるアミノ酸配列に対してSWISS-PLOTのデータバンクよりホモロジー検索を行ったところ、L-NHaseのβサブユニット遺伝子の開始コドンより2.65kb上流から始まるnhlDと2kb上流から始まるnhlCに有意な相同性を示すアミノ酸配列の存在が認められた。nhlDはアミノ酸112個から成る12.2kDaのタンパク質をコードすると予想され、またnhlCはアミノ酸357個から成る38.6kDaのタンパク質をコードすると予想された。nhlDは水銀、カドミウム、ひ素などの重金属を解毒あるいは細胞外へ排出する機能を持つタンパク質をコードする遺伝子の(上流に存在する)発現調節に関わるタンパク質と相同性を示した。nhlCは、(H-NHaseの構造遺伝子の4.2kb上流に存在し、H-NHaseの発現に必要な遺伝子である)nhhCの相同遺伝子であると考えられた。 先に作製した各形質転換体におけるL-NHaseの生成をSDS-PAGE及びL-NHaseに対する抗体を用いたウエスタンブロットで検討した結果、nhlDまでを全て含むクローンはクロトンアミドを含む培養条件でのみL-NHaseが発現したのに対し、nhlDあるいはnhlCを欠失させたクローンはどちらの条件でも構成的にL-NHaseが発現した。さらに、各形質転換体についてベンズアミドを基質としてアミダーゼ活性を測定した結果、L-NHase遺伝子の下流領域を含むプラスミドをもつクローンの中で、L-NHaseが構成的に発現するクローンにおいて、アミダーゼがクロトンアミドを含まない条件でも発現することが判明した。これは、L-NHase遺伝子の1.9kb下流に存在するアミダーゼ遺伝子によるものと考えられた。
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