研究概要 |
1.大腸菌グルタチオン生合成遺伝子(gshI,gshII)の取得 gshI,gshII共にDNA塩基配列が明らかにされているので、これら遺伝子の両端をプライマーとしてそれぞれデザイン・合成し、大腸菌MV1184株より調製した染色体DNAをテンプレートとしたPCR法により両遺伝子(2.1kb,1.5kb)を増幅した。それぞれの遺伝子の確認はダイレクトシーケンスにより行った。発現ベクターへの挿入を容易にするために、gshI用のプライマーにはSacI,XbaIリンカーを、gshII用の両プライマーにはHindIIIリンカーを付加した。 2.グルタチオン生合成を強化した大腸菌株の作製 増幅した両遺伝子をpUC18へ挿入した後、大腸菌MV1184株ヘクローニングした。取得したgshI,gshIIクローンともに0.1-1.0mM IPTGによる発現誘導が認められ、野生株と比べてgshIで21.5倍、gshIIで475倍にまで活性が上昇した。gshIの活性上昇率が低いのは、開始コドンがTTGのためであると思われる。現在、部位特異的変異によりATGへの変換を試みている。 3.クローン化大腸菌の膜透過性付与 今回は、酵母グルタチオン生産系でよく行われているトルエン処理を中心に検討した。0-10%トルエン中、25℃、1hrでクローン化大腸菌を処理し、グルタチオン生合成速度を測定した。無処理ではまったく菌体外へのグルタチオン生成が認められなかったが、トルエン添加処理により生成が起こり、その効果は4%トルエンで最大となった。処理菌体は、4℃で1ヵ月程度は安定であった。
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