1)大腸菌グルコース脱水素酵素(GDH)と酢酸菌アルコール脱水素酵素(ADH)のユビキノン類縁体であるUQ1とUQ2との反応を拮抗的に阻害する阻害剤を、京都大学の三芳らが合成した100種類に及ぶユビキノンの構造類似体から、三芳らと共同でスクリーニングし、特異的に反応阻害を引き起こすユビキノン構造類似体をいくつか見いだした。 2)大腸菌GDHのユビキノン類縁体との反応を強力に阻害するカブサイシン系の6種類の阻害剤に絞って、更にその性質を明らかにするため、大腸菌体で機能している本来のユビキノンであるUQ8との反応および細胞膜でのグルコース酸化活性に対するこれら阻害剤の影響について検討し、これらが特異的にGDHのユビキノンサイトで作用しているだろうことを明らかにした。 3)ADHは3つのサブユニットからなる複合酵素であり、ユビキノンと反応するにはすべてのサブユニットの存在が必要であることが示されているが、生化学的手法で各サブユニットを解体・再構成することによりその第2のサブユニットにユビキノンサイトが存在することを明らかにした。 4)上述のように見だされた大腸菌GDHのユビキノンとの反応を強力に阻害するいくつかの特異的阻害剤に対する非感受性変異株を分離する準備段階として、寒天平板上でこれらの阻害剤が効果を示す菌株と培地条件を検討した。その結果、グルコースとPQQの存在下で100mMのリン酸緩衝液を含む平板で生育するptsとgalPに変異をもつ大腸菌を用いることで、これらの阻害剤が有効にその生育を阻害できることを明らかにした。
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