研究概要 |
セルラーゼの一次構造,高次構造,酵素の活性中心に関する情報も少ない,セルラーゼの基質が高級セロオリゴ糖となると水不溶性となるため反応速度論の解析も難しく,サブサイトも殆ど分かっていない.最近,遺伝子操作技術により多くのセルラーゼ遺伝子がクローン化され,一次構造が続々と解明されつつあり,幾つかの酵素の立体構造も明らかになった.酵素分子の活性部位の構造について検討する方法として,特異的酵素阻害剤を用いる方法があるが,セルラーゼにおいて特異的阻害剤はいまだ発見されていない.そこで,セルラーゼの活性中心に関する情報を得るためセルラーゼの特異的阻害剤(基質アナログ)を考え,阻害剤生産菌株の検索を行ったが,現在のところ成功していない.そこで,グルコシダーゼの特異的阻害剤であるSGI(l-デオキシノジリマイシン)をセロオリゴ糖に位置選択的に付加することを試み,その産物(混合物)がセルラーゼを阻害することを発見した.この中から4種の阻害剤を精製し,構造を決定した.これらはSGIにグレコースがβ-1,4又は1,6で結合したものであった.これらの阻害強度は,酵素の起源により大きく異なった.次に,SGI生産菌の大量培養を行い,SGIを大量に精製分取した.これを用い,上記の条件下で阻害剤を調製し,そこから,上記4種以外の阻害剤を3種分取した.これらを用い,その構造決定,Aspergillus Trichoderma,Irpex等カビのセルラーゼ,Bacillus等の細菌のセルラーゼの精製酵素を用い得られた阻害剤による阻害を詳しく調べる予定である.新規セルラーゼ阻害剤生産菌の検索は未だ成功していない.
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