研究課題/領域番号 |
06660124
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
古賀 洋介 産業医科大学, 医学部, 教授 (70012458)
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研究分担者 |
森井 宏幸 産業医大医療技術短大, 助手 (60141743)
西原 正照 産業医科大学, 医学部, 助教授 (20131930)
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キーワード | メタン生成細菌 / エーテル型脂質 / 分類 / 化学分類学的手法 / 部品分析 / ヒドロキシアーキオール / グリセロホスホジエステル / 糖 |
研究概要 |
メタン生成細菌の極性脂質はエーテル型脂質骨格、リン酸エステル極性頭部残基および糖脂質の糖鎖の3つの部品より構成されており、これらは化学分解により容易に分離でき、クロマトグラフィなどで同定できる。そこでメタン生成細菌の全脂質抽出液レベルで、この3種の構成部品を分析し、その存否を分類学的マーカーとする簡易分析法を開発した。本研究の開始以前に行なっていたものと本年度新たに分析した5種を含めてメタン菌34種の脂質構成部品の分析結果を得た。これは既知のメタン菌種の約半数に相当し、全ての科をカバーしている。この分析結果を総括して、次のような結論を得た。メタン菌には、エーテル型脂質骨格が全菌種を通じて5種類、リン酸エステル極性頭部残基が7種類、糖脂質の糖が3種類存在し、それらのメタン菌における分布の組み合わせがメタン菌の目および科レベルの分類群によって特徴的に異なっていた。これによってMethanobacteriaceae科、Methanothermaceae科、Methanococcaceae科、Methanomicrobiaceae科+Methanocorpusculaceae科、Methanosacinaceae科を相互に脂質分析のみで識別することが可能になった。従来同一の目(Methanomicrobiales)に属するとされていたMethanomicrobiaceae科とMethanosacinaceae科は、本研究開始以前の予備的分析の結果から目レベルの相違に相当する大きな相違があるとされていたが、本年度Methanomicrobiaceae科に近縁と思われるMethanocorpusculaceae科とMethanoplanus属を分析した結果、これらはMethanomicrobiaceae科と全く同じ脂質部品分布を示し、これらのメタン菌はMethanomicrobiales目に属することが確定した。Methanosacinaceae科で未分析の3属3種を分析したところ、Methanosacinaceae科の他のメタン菌と酷似した脂質部品分布を示し予備実験の結論を補強し、Methanosacinaceae科は別目とすることが適当である、という結論を得るに至った。
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