研究概要 |
平成6年度までに未分析のメタン生成細菌の脂質部品分析を次の6菌株について行った。Methanococcaceae科のMethanococcus maripaludis, Methanococcus aeolicus, Methnocococcus igneus、 Methanobacteriaceae科のMethanobacterium thermoautotophicum Marburg株、Methanosarcinaceae科のMethanosarcina thermophila,および未同定のNaT1株である。その結果、中温性のMethanococciであるM. maripaludisとM. aeolicusの2種はこれまでに分析した中温性のMethanococciと同じ脂質部品分析を示し、超好熱性のMethncococcus igneusは中温性のMethanococciとは脂質骨格の種類が異なり、すでに分析してある超好熱性のMethanococcus jannaschiiと同じ脂質部品分布を示した。これらのことから、超好熱性のMethanococciは中温性のMethanococciとは別の新しい分類群、たぶん新しい科に属させるのが適当である、と考えられた。Methanosarcina thermophilaの脂質部品のうち、骨格やリン酸エステル極性基はこの属の特徴に一致したが、糖脂質の糖にガラクトースが検出され、この属では極性基や糖で種の判別ができる可能性を示した。Methanobacterium thermoautotophicum Marburg株はMethanobacterium thermoautotophicumの基準株であるΔH株と脂質部品分析の上では区別できなかった。未同定のNaT1株はMethanolobusと脂質部品分布が似ており、同種か少なくとも同属ではないかと推定され、平成6年度に分析した水田土壌分離株であるTMA株がMethanosarcina mazeiと同定されたのと同様、本方法がメタン菌の分類と同様同定にも有用であることが分かった。
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