約10種類の不飽和アミン、カルボン酸、アミノ酸を出発原料として反応を行い25-35%の単離収率でそれぞれ対応する二量体を得た。この研究過程で新たに冷却効率の良い小型反応容器を製作した。 クロトン酸を用いた反応では、予想された3種の生成物のうちジエチルコハク酸が優位に生じたので、反応過程において水素ラジカルが二量結合に付加する場合、より安定な炭素ラジカルが生成するような位置に付加が起こることが裏付けられた。 アルキル基から生じる炭素ラジカル同士の二量化反応について5種類の化合物を原料として実験を行い、10-20%程度の収率で反応系内に二量体が生成していることを確認した。収率の向上を目指して基礎実験を進めた結果系内に添加しているギ酸の濃度を従来の条件より低くし基質の濃度は従来の条件より高くした方が高収率で二量体が生成した。 この型の反応では、水酸ラジカルに引き抜かれる水素原子が全て等価な分子を用いるのが反応を複雑にしないポイントであるが、あえて非等価な水素原子を有する化合物(プロピオン酸)を用いて生じる生成物の分析を行った。この反応では3種の生成物が期待できるが、予想どうり2、3-ジメチルコハク酸が主生成物で次いで2-メチルグルタル酸が少量生成しアジピン酸は僅かであった。この結果により本反応の機構が裏付けられた。 スルホキシドの解裂により生成する炭素ラジカル同士の二量化反応については、S-メチルシステイン・スルホキシド等を用いて反応を行い10%程度の収率で二量体(2、5-ジアミノアジピン酸等)が生成することを確認した。
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