1.Streptomyces albonigerの生産する気菌糸形成阻害物質の単離・構造決定 S. albonigerをBennet's液体培地で培養し、培養濾液の酢酸エチル可溶酸性画分を得た。抽出物を、シリカゲルカラムクロマトと分取TLCで精製した後、ODS-HPLCでUVを指標に分画した。その結果、Rt7.8分のピーク画分が気菌糸形成阻害活性を示したが、その活性は分画前より明らかに弱くなった。本物質は機器分析の結果からフェニル酢酸と同定された。ODS-HPLCによる精製の前後で活性が変化したことから、フェニル酢酸以外の画分をフェニル酢酸と同時に与えて活性を測定した結果、Rt4.7分のピーク画分をフェニル酢酸と同時に与えると、HPLCで分画する前と同様の活性を示すことを見いだした。この協力物質は機器分析の結果、4-ヒドロキシベンズアルデヒドと同定された。さらに、フェニル酢酸と4-ヒドロキシベンズアルデヒドの関連化合物の活性を測定し、構造-活性相関を調べた。 2.Carbazomycinalの再単離 我々が先にStreptoverticillium sp.から単離した気菌糸形成阻害物質carbazomycinalを、気菌糸形成機構解明の実験に用いるために、培養条件を検討し再単離を行った。培地としてcarbazomycinalの類縁抗生物質carbazomycinの生産培地を用い、培養の際に消泡剤を添加して発泡を抑え、酸素の供給を良くすることにより、生産量を従来の培養条件での56倍にまで高めることができた。 3.気菌糸形成阻害物質の探索と単離 研究室保存の菌株について、気菌糸形成阻害物質や誘導物質を生産しているか否かを調べた。その結果、気菌糸形成阻害物質の生産菌を見いだすことはできなかったが、誘導物質を生産する菌株を3菌株見いだすことができた。
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