平成6年度は主として、グルタミン酸骨格を構造の一部として含む生理活性天然物と、それらの生合成に関連した合成酵素をリストアップしたデータベースを構築するために、学術雑誌などの出版物からそれらを拾いだして収集する予定であった。しかし、本研究代表者がこれまで作成をしてきたデータベースであるLIGAND Chemical Database for Enzymatic Reactionを利用することに変更した。すなわち、このデータベースはいろいろな酵素それぞれについて、酵素反応の基質や生成物、阻害剤となる化合物を収集したものである。これを、本課題研究のために酵素名と化合物名をリンクさせることによって、逆引きを可能にした。すなわち、ある化合物名を入力すると、それを基質、生成物とするような酵素が全てリストアップされる。これによって、ある化合物の生合成に関連している酵素名を網羅的に抽出することができる。さらに、お互いにほとんど類似性がみとめられないアミノ酸配列のグループから共通に存在するアミノ酸配列モチーフを抽出するプログラムを利用すれば、生合成に関連した酵素のアミノ酸配列に特徴的にみられる配列モチーフを抽出することが可能になった。いまのところ、化合物名でしか抽出することができないが、化合物の化学構造を結合表の形でコンピューターに保存することによって、部分構造検索が可能となる。次年度で本研究課題を完了させるための準備は着々と進行している。
|