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1995 年度 実績報告書

食物繊維による大腸カルシウム吸収促進の機構と生理的意義

研究課題

研究課題/領域番号 06660141
研究機関北海道大学

研究代表者

原 博  北海道大学, 農学部, 助教授 (70198894)

キーワードカルシウム / 大腸 / 食物センイ / 吸収 / 腎不全 / ラット
研究概要

1、水溶性で発酵性の高い食物センイ(難消化性糖類)の摂取によって、大腸でのカルシウム吸収が促進されることを、ラットを用いた盲腸静脈-動脈濃度差法により見いだした。
2、盲腸でのカルシウムの吸収能を定量的に確かめるため、盲腸に直接カルシウム源を投与して、その吸収量を測定した。また、骨のカルシウム量もあわせて評価した。ここで用いた食物センイは、より発酵性が高く、また上部消化管での作用が低い低粘度のグアガム分解物を用いた。この結果大腸はそれだけで体が必要とする量のカルシウムの吸収能力を持っていることが示唆された。
3、食品中のカルシウム源は炭酸カルシウムやリン酸カルシウムと言った不溶性のものが多い。そこで、次に不溶性の炭酸カルシウムと水溶性の種々のカルシウム源の吸収を比較した。その際、非吸収性マーカーを用いて小腸までの吸収と大腸吸収を区別して測定した。その結果は、小腸において、カルシウムおよびマグネシウム吸収が低下ないし不足した場合に大腸の吸収が亢進し必要量吸収されることが明らかになった。
4、カルシウム吸収傷害を有する腎不全モデルラットも用い、さらに大腸のカルシウム吸収への寄与を見るため、盲腸切除術を施し、食物センイ摂取の影響を検討した。バランステストでは糞食が問題となるため、この点に関しての従来より優れた糞食防止の方法を考案して実験を行った。その結果、腎不全で低下したカルシウム吸収は食物センイ摂取で亢進したが、盲腸接受によりこの効果は完全に消失した。これより、食物センイによるカルシウム吸収亢進には大腸が寄与していることが明らかになった。
5、食物センイの1つの欠点として、いくつかの重要なミネラルの吸収を抑制するとされてきた。しかし、本研究により、水溶性で発酵性の高い食物センイは、大腸でのカルシウム亢進により、見かけののカルシウム吸収も高くすることが明らかになった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] H.Hara,Y.Saito,M.Nagata,M.Tsuji,K.Yamamoto: "Artificial fiber complexes composed of cellulose and guar gum or psyllium may be better sources of soluble fiber than comparable fiber mixtures in rats." J.Nutr.124. 1238-1247 (1994)

  • [文献書誌] H.Hara,Y.Saito,H.Nakashima,S.Kiriyama: "Evaluation of fermentability of acid-treated corn husk in vivo and in vitro in rats." Br.J.Nutr.71. 719-729 (1994)

  • [文献書誌] H.Hara,K.Miyashita,S.Ito,T.Kasai: "Oxidized Ethyl Linoleate Induces Mucosal Hypertrophy of the Large Intestine and Affects Cecal Fermentation of Dietary Fiber in Rats" J.Nutr.(in press).

  • [文献書誌] A.Ohta,S.Baba,M.Ohtsuki,A.Taguchi,T.Adachi,H.Hara: "Prevention of coprophagy modified magnesium absorption in rats fed fructooligosaccharides." Br.J.Nutr.(in press).

  • [文献書誌] H.Hara,Y.Saito,A,Idei S.Kiriyama: "Food Hydro colloids" Plenum Publishing Co., 510 (1994)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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