アラビノガラクタンプロテイン(AGP)は蔬菜類の細胞表層に多く存在する糖蛋白質であり、植物の成長、耐寒性、耐乾燥性、さらに花粉の接着にも関与していることが報告されている。一方、AGPは水溶性食物繊維に分類され、植物生理学的のみならず食品栄養学的にも注目されている。 1.キャベツより単離したAGPを抗原として、常法に従い17個のモノクローナル抗体を取得した。これらはすべてAGPの糖部分を認識しているものと思われた。これらの抗体を用いたウエスタンブロッティングにより、キャベツ以外の蔬菜にもAGPは普遍的に存在していることが明らかとなった。 2.17個のモノクローナル抗体のうち3つは通常では得られにくいIgEであった。そこでIgE産生に及ぼすAGPの影響を解析する目的で、モノクローナル抗体を用いたラットIgEの微量定量法を確立した。現在本法を用いてAGPの免疫原性、アジュバント活性を解析中である。 3.ホウ素は植物の必須元素であり、ホウ酸の錯体として細胞壁に局在していることが報告されている。我々はAGPの調製にホウ酸緩衝液が有効であることにヒントを得て、AGPがホウ酸と錯体を形成しやすいことを明らかにし、ホウ素の貯蔵体としてのAGPの機能を示唆した。
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