研究概要 |
1.流出樹脂の成分化合物の構造決定-----漏脂症樹脂中の主要テルペン5種は、各種クロマトグラフィーを繰り返して単離し機器データより、含有の多い順にMannool,Trulosol,Trulosal,Communic acid,Ferruginolであることが分かった。量の多い4種はどれもラブダン系のジテルペンで、生合成経路からはまず生成するジテルペン骨格化合物である。また後の2種は、球果中の主要ジテルペンであった。 一方、健全なヒノキ樹脂の主成分はGCに現れるジテルペンだけでは無く、分子のより大きいステロールか極性基を有するジテルペンであることが分かり、抽出段階に戻り多量の樹脂から分離することとした。 2.GCやHPLCの分析機器での樹脂成分の測定条件の確立-----手持ちの数種のキャピラリーカラムを用いてのGC-MS測定では、OV-17カラムを用いた結果が優れているが、TrulosolとCommunic acid のピークが一部重なっている。マスクロマトグラフ法の処理で分けて定量することも可能であるが、2つのピークが単純に分離する条件をさらに検討する。 3.ヒノキ漏脂症の進行と成分化合物の関連の検討-----5本のヒノキ生木から定期的に樹皮を取り、樹脂量と成分比を追っている。さらに本数を増やしテルペンの時間変化を追う。 4.主要テルペンの抗菌活性-----5種の単離化合物の一般細菌と植物病原性糸状菌に対する抗菌活性を調べ、TrulosolとTrulosalに、黄色ブドウ状球菌に弱い抗菌活性を、イネごま葉枯病菌の弱い菌糸伸長抑制を認めた。漏脂症病原菌に対する抗菌活性検査は進行中である。
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