研究課題/領域番号 |
06660174
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
丹下 健 東京大学, 農学部, 助教授 (20179922)
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研究分担者 |
小島 克己 東京大学, 農学部, 助手 (80211895)
八木 久義 東京大学, 農学部(林), 教授 (80191089)
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キーワード | スギ高齢木 / 樹冠蒸散速度 / 水蒸気拡散コンダクタンス / 水ストレス / 本部圧ポテンシャル / 気孔閉鎖 / 大気飽差 |
研究概要 |
1.東京大学千葉演習林菖蒲沢試験地(36林班C10)の尾根部に生育する90年生スギ造林木2個体を供試木とした。供試木は、樹高16〜17m前後で、最近の年樹高成長量は、10〜20cm/年と小さかった。 2.供試木の周りに測定用鉄塔を設置した。供試木のうちの1本を樹冠蒸散速度測定木とし、通気用ファン、通気用パイプ、樹冠を円筒状に覆う蒸散測定用ダクトから成る樹冠蒸散速度測定システムを設置した。ダクトへの通気量は、26^3/分とした。供試木の葉量は、樹冠長と生枝下高直径の積を変数とする回帰式から、約17.6kgと推定された。 3.夏期に、葉の木部圧ポテンシャルと個葉の蒸散速度の測定を行った。夜明けの前の葉の木部圧ポテンシャルは、約-3〜-4MPa程度と、30年生前後の同樹高の個体での値と大差なく、85年生の樹高30mの個体(-5〜-7MPa)に比べると高い値であった。樹冠蒸散速度は、日中、大気飽差の増大にともなって急激に低下した。 4.11月の晴天日および曇天日に樹冠蒸散速度を測定した。曇天日は、日射量の変化に対応した日変化を示し、午前と午後で、日射量と樹冠水蒸気拡散コンダクタンスとの対応関係に違いはみられなかった。一方、晴天日では、同じ日射量の場合に、午前に比べて午後は明らかに樹冠水蒸気拡散コンダクタンスが小さい傾向が得られた。30年生造林木の樹冠蒸散速度の日変化では、午後における樹冠水蒸気拡散コンダクタンスの低下は明瞭でなかったことから、高齢で、樹高成長速度の頭打ちが顕著な造林木では、水ストレスによる気孔閉鎖にともなう光合成速度の低下が日中に顕著になるものと推測された。
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