本研究では「大気-植生-土壌」連続系のエネルギー・水輸送における森林の役割を明らかにすることを目的とした。さらに森林内外のエネルギー・水輸送を現地観測、樹冠構造を考慮した数値モデルにより再現することを試みた。そのために、いくつかの樹種の森林における観測、および森林の特徴を明らかにするための畑地等における対比観測、を行った。観測は、放射収支(短波、長波、放射収支量)、エネルギー収支(顕熱、潜熱量)、風速や温湿度の林内の分布、樹体内の樹液流量、植物体の水ポテンシャルなどである。また同時に樹冠の構造等に関する調査も実施した。 特に森林の樹冠上の顕熱フラックスの超音波風速温度計の直接測定結果に基づき、スペクトル解析を行って、森林の乱流輸送構造の特徴を明らかにした。 また森林の樹幹構造に関しては、その空間分布構造を林木の成長の過程の中でとらえ、パターンの解析を行った。 一方これらの観測解析結果をもとに、high order clousre理論による数値モデルを開発することを試みた。モデルの基本的な部分は完成したが、実測結果との対比によるモデルの改良は現在も作業を進めている。
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