今年度は、数値標高モデル(DEM)の格子点間を結ぶ概略の林道網配置のうち、循環型の配置方法のアルゴリズム確率に主眼を置いて検討を行った。 DEM格子点における「林道開設難易度」の評価指標は、当該格子点が水系上か、尾根線上か、あるいは平衡斜面上か、という局所的な微地形の条件と関連させることにより、指標としての有効性が一層高まるものと考えられる。数値地形解析システム(DIGITAS)には、水系網をホ-トン・シュトラーラー方式の1次流、2次流、等々の階層構造的に抽出しうるサブシステムが組み込まれている。しかし、尾根線の階層構造の抽出は、水系網の場合よりも複雑な要因の解明が必要であるため、従来は未確立のままであった。 そこで、先ず、DEMに基づく尾根線の抽出アルゴリズムについて検討した。実験結果から、尾根線抽出に関しては、ある程度初歩的な成果が得られた。しかし、一つの稜線のなかでも独立標高点付近になると、そこに尾根線が部分的に収束してしまうため、全体的に連結性を保った尾根線の自動的な抽出には至らず、手作業による修正を余儀なくされた。 次に、山地流域を対象に、最大集材距離を指標として循環型林道網の配置を探索するアルゴリズムについて検討した。この路網は、等高線方向に配置される森林作業用の主林道群と、上下2本の主林道間を結ぶ、縦断勾配の比較的急な副林道群とからなるものである。主林道、副林道とも、プロトタイプの探索プログラムを作成した。今後、特に副林道の探索を地形条件と関連させてより現実的な路線配置に近づけられるように、アルゴリズムの改善が必要と考えられる。 また、車両系と架線系の集材作業と地形・地利条件の関連性について現地調査を行った。
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