研究概要 |
本研究は、平成6〜8年度にかけて、南西諸島の荒廃原野について、育林技術や森林施業計画の改善に必要な基本的課題の摘出を試みたものである。 南西諸島の主な荒廃原野は、沖縄本島中・南部地域に多いギンネム、ススキ生地と小島に多い風衝林地である。ギンネム生地等の実態を調査して育林技術上の課題を空中写真やLANDSAT-TMデータの画像処理を試みて森林施業計画に必要な荒廃原野や林相の区分に関する課題を検討した。 (1)沖縄本島中南部地域のギンネム原野は、一般的に、樹高は低く、直径が小さい、本数が極めて多い異齢単純林である。ギンネム林内での他の樹種の生育は非常に困難である。ススキは草丈が4mを越えて巨大化し、他の植生を被圧する。 (2)LANDSAT-TMデータを用いて、小規模のギンネム原野のエリア区分を試みた。1ha未満の小区域を正確に区分することは困難である。クラスタリングで概略的に区分することはできるが、誤った区分も多い。 (3)ギンネム原野等の区分について、空中写真の判読と画像処理の適応性について検討した。実体鏡による判読の精度は、非常に良好である。しかし、写真をコンピュータに取り込んで画像処理した場合のクラスタリングや教師付き分類法による精度は低い。 (4)空中写真の画像処理によって、ギンネムなどの荒廃原野や山地での風衝林地、林相の区分を行う場合には、斜面方位や傾斜角度などの地理的要素を加えて検討する必要がある。 (5)LANDSAT-TMデータを利用して、約1,500haの島について、風衝林地や林相の区分を行った。分光反射特性に基づく植生指数と教師付き分類法により、実用的な成果を得た。
|