研究概要 |
課題実行に当たり本年度、次の2課題についての実験を行った。 (1)樹木の形態因子が樹幹流におよぼす影響 (2)ブナ・カラマツ林における遮断特性の把握 (1)の概要:樹木特性(樹皮凹凸率、LAI、樹形)と樹幹流との関係を調べた。樹形数量化はフラクタル次元によった。11種の樹木を用い実験を行った。その結果、フラクタル次元が1.34〜1.49と1.54〜1.56で多く樹幹流が生じること、LAIが2.34〜2.84,3.15〜3.28,4.28〜5.52に集中し、広葉樹に高い値を示したこと、樹皮凹凸率では凹凸率が大きい値と小さい値を有する樹種に樹幹流が集中する傾向があること等の結果を得た。本年度行った実験結果をふまえ来年度は、次の事項についてより詳細なデータの蓄積をはかり、森林内の諸特性が降雨再配分にどのように関わっているかの検討を行う予定である。 a:供試木の数を増やし本年度得た結果の確認を行う。 b:樹皮凹凸の樹幹流に与える影響を観察するため、樹幹部に流入する雨水の樹幹部通過速度、量、樹幹貯留量などを計測し凹凸との関係を探る。 c:樹木のもつ諸特性が枝葉に付着する水分量にどの様に影響しているかを葉面積指数、葉質、葉形などを加味しその絶対量を多種類の樹木をもちいて検証する。 (2)の概要:各実験区での樹幹流下量、林内雨量、遮断量の林外雨量の割合はブナで7.1%,66.9%,26% カラマツ林で0.5%,80.2%,19.2%となり植生変化による差が明瞭にでている。本年度コナラ林に新たに実験区を設定し植生変化による蒸発散の変化について検討を加える。また、実験モデルのパラメータの最適化も同時に行う。
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