青森県下北郡脇野沢村において下記のとおりの調査、及び同村において採取したサンプルの分析を行った。 1、スギ人工林の占める面積割合が異なる4地域(約50、25、10、0%)において区画法(直接カウント法)によるカモシカの生息密度調査を計5回実施した。得られた生息密度は4.5〜13.8頭/km^2であり、スギ幼齢人工林の面積割合が高い地域ほどカモシカの生息密度が高い傾向が認められた。 2、18頭の識別個体の観察を行い、各個体の行動圈を明らかにするとともに、直接観察法により採食植物を種レベルで量的に把握した。 3、カモシカの食物の栄養価評価のため、糞のサンプルを採取し、窒素(タンパク質)含有率を測定した。 (1)糞中窒素の含有率は、10・11月に2.8%、12月に1.8%、2月に1.3%、5月に4.0%と明瞭な季節変化を示した。 (2)なわばりを重複させているつがいの雌雄で同様の含有率が得られた。そのため、糞中窒素の含有率は各個体のなわばり内における食物条件の良否を示す指標として用いうることが示唆された。 (3)生息密度調査を行った4地域において糞サンプルの回収を行った。今後、分析を行い、糞中窒素の含有率に示される栄養条件と生息密度との関係を検討する。 4、カモシカ食物の栄養価評価のため、主要な採食食物のサンプルを採取し、窒素(タンパク質)含有率を測定した。これまで3季延べ60種の分析を終え、現在、結果をとりまとめ中である。
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