(1)ブナUKPを亜硝酸前処理、酵素漂白、二酸化塩素漂白、過酸化水素漂白の4段漂白することによって、通常の五段(OCEHD)と同等の白色度(87%)と粘度(20cP)のパルプが得られる。AOXは0.1kg/pulp tとすることができる。 (2)カッパー価が30程度のアカマツクラフトパルプを90℃で3時間、硝酸(添加率:4%)と亜硝酸塩(添加率:0.3%)で処理したところ、カッパー価が半減する。 (3)亜硝酸前処理法は、二酸化窒素前処理法と違って気相の二酸化窒素、および2段の前処理が不要である。両者の効果は同等である。 (4)フェノール性モデル化合物は、非フェノール性モデル化合物と比較し、非常に速やかに分解される。ベラトリルグリセロール-β-グアイアシルエーテル(VG)のCα-Cβ結合が開裂し、ベラトルアルデヒド(Vd)を与える。 (5)VGのα-エチルエーテル(VGE)は、α-エチルエーテルの酸加水分解によってVGを生成し、Cα-Cβ結合の開裂によりVdを与える。 (6)デヒドロジイソオイゲノールのメチルエーテル(β-5型モデル)、およびイソオイゲノールのメチルエーテルも、Cα-Cβ開裂によってVdを与え、また後者は室温においても速やかに分解する。 (7)ベラトリルグリセロール-β-シリンギルエーテル(VS)、およびVSのα-エチルエーテル(VSE)は、VG、およびVGEと同様に分解してVdを与える。しかし、VSはVGよりも速やかに分解し、またスレオ型VSはエリスロ型VSよりも速やかに分解する。 (8)亜硝酸漂白法を実用化するための障害は窒素化合物を含む廃液の処理法にあり、もし、廃液を回収して硝酸と亜硝酸塩を再生できれば、この方法は優れた漂白法と成り得る。
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