セロピオース脱水素酵素を用いたセルラーゼ活性の高感度検出法によって、精製したセルラーゼのセルロース分解特性について解析を行った。 セルラーゼとしては、精製されたTrichoderma reesei由来のエンドグルカナーゼII(EGII)およびセロピオヒドロラーゼI(CBH)を実験に用いた。また、セルロース基質としては、Acetobacter xylinum由来の結晶性セルロース、SO_2アミン系溶媒から再生した非晶性セルロースおよび可溶性セロオリゴ糖celloheptaitolを実験に供した。pH4.2の酢酸緩衝液中での各セルロース基質の加水分解反応速度を求めた。 CBHIを単独で作用させた場合、いずれのセルロース基質も同程度の反応速度で加水分解され、CBHIの反応速度は基質の構造の差に依存せずにほぼ一定であることが示された。一方、EGIIの反応速度は基質の構造の差に大きく依存しており、celloheptaitolに対して最も速くその反応速度はCBIIIのそれの約7倍であった。また、EGIIは非晶性セルロースは効率的に分解できるが、結晶性セルロースはほとんど分解できなかった。CGHIとEGIIを混合した場合、celloheptaitolの加水分解については全く相乗効果は認められなかったが、非晶性セルロースと結晶性セルロースの加水分解に対しては明確な相乗効果が認められ、特に結晶性セルロースに対しては顕著であった。さらに、これらはEGII単独でcelloheptaitolを加水分解した場合の反応速度にほぼ匹敵することから、CGHIとEGIIによる固体セルロース分解での相乗効果は、CBHIの存在がEGIIのセルロース基質への反応性の向上させたことに起因すると考えられた。
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