(1)枝がないときのヤング係数に対する、枝が存在するときのヤング係数の値の比は、0.88〜1.17、平均1.01であり、枝のヤング係数に対する影響はもとんどないものと判断された。(2)伸長方向におけるヤング係数は、測定位置が地際から離れるに従い、多少のバラツキは存在するもののすべての試験体で大きくなる傾向が見られた。したがって、現実的には地際に近い部分を測定すればよい。(3)樹高と各節間ヤング係数、および地際直径と各節間ヤング係数の関係では、相関が見受けられたものと見受けられないないものが存在し、節間により異なる傾向を示した。(4)1年目のヤング係数と2年目のヤング係数との関係は、1年目のヤング係数が大きいものは2年目のヤング係数も大きいという傾向が認められたものも存在したが、大部分については相関は認められなかった。 これまでの問題点として次のようなことが考えられる。樹幹の非常に細い苗木については、たわみの測定方法が難しく実験方法の検討の必要性がある。また、1年目の測定を行った時期が春で活動期であり、時間の経過が測定したヤング係数の値にかなり影響していることが考えられたため、2年目の測定は活動の停止期である秋(11月)に行った。このような活動期と停止期における材質の関係を見ること自体問題があるかも知れない。樹木のヤング係数発現機構とあわせた研究を行っていかなければならないと思われる。
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