平成6年度に実施した研究より、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)のバイオブリーチングにおいて、MnPが白色度向上と脱リグニンに大きく関与するキ-エンザイムであることを明らかにした。 そこで、平成7年度は、既知の代表的な白色腐朽菌であるPhanerochaete chrysosporiumを低窒素-高炭素含有培地で培養してMnPを産生させ、部分精製を行った後、本酵素によるバイオブリーチングをLUKPおよび2種類の針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)に適用した。 その結果、MnP処理によりいずれのパルプもカッパー価が減少し、12時間のMnP処理を3回繰り返すと、LUKPでは60.6%、通常蒸解度のNUKP-Nでは67.6%、LUKPと同程度のカッパー価を有するNUKP-Lでは71.4%の脱リグニンが認められた。また、白色度の向上も認められ、MnPがバイオブリーチングに関与するキ-エンザイムであることが強く示唆された。 なお、MnP多段処理の後に塩素系漂白(C/D-E-D)を後続させ、白色度85%程度の全晒パルプを得るに必要な全有効塩素量を従来の塩素系多段漂白法(C/D-E-D-E-D)と比較した。その結果、LUKP、NUKP-NおよびNUKP-Lでそれぞれ、69.0、51.0および66.2%の低減が認められ、MnPによるバイオブリーチングは塩素系漂白剤の低減に有効であることが実証された。
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