1.ほう酸の単独処理では、優れた耐朽・耐蟻性能があるとされている1.0kg/m^3-木材の100倍以上の吸収量であっても、水浸漬溶脱操作により3日後には木材中から検出されなくなった。 2.I液(カチオン)とII液(アニオン)の二重拡散処理による無機質複合化木材の調製において、少なくともII液にほう酸を添加すると、ほう酸の溶脱が抑制され、一部は生成した水不溶無機塩(リン酸水素バリウム)と結合した無機ほう酸塩の形で残存することがX線回折図から明らかになった。 3.無機質複合化木材の耐朽・耐蟻性はほう酸添加により著しく向上し、残存ほう酸量が1.0kg/m^3以下になってもなお高い耐朽・耐蟻性を保持していた。 4.フルフリルアルコールの単独処理では、腐朽と蟻害を阻止するために25%以上の含脂率を必要とするが、1%ほう酸液注入による前処理を行うと、水浸漬溶脱操作後も1%程度の含脂率で蟻害が著しく抑制された。腐朽については、樹種と腐朽菌の組み合わせにより差があるが、針葉樹材では数%程度の含脂率で高い耐朽性が得られる場合が多かった。これらの結果は、熱硬化により生成したフラン樹脂によりほう酸の溶脱が抑制されたことを示している。 ほう酸前処理と低分子フェノール樹脂注入処理を行ったパーティクルボードは、3%という低い含脂率でも水浸漬後も高い耐朽性を保持しておい、樹脂使用量の軽減及び樹脂内包埋によるほう酸の溶脱阻止の二つの利点を備えていると考えられた。 ほう酸・フェノール/ホルマ-ル化処理木材においても、上記と同様の耐朽・耐蟻性の向上が認められた。
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