(1)20代から70代の成人による木製車いすと金属製車いすとの使用イメージ調査を行い、因子分析を行った結果、木製車いすは堅牢さに欠けるが、明るく優しく温かみがあり、金属製は暗く冷たいという結果を得た。また20代の若い人による木製車いす、金属製車いす、スポーツ性車いすのイメージ調査を行い、因子分析を行った結果、スポーツ性車いすは健康的で男性的、金属製車いすは暗く冷たく、病的であり、木製車いすは温かく女性的という結果を得た。 (2)障害を持つ子どもの療育施設で、ハンドリムのみ木製化した車いすを3台用意し、長期使用に向けた結果、明確な機能的、生理的特徴は見いだせなかったものの、心理的情緒効果は良く、指導、介護にあたる人からの評価は好ましかった。障害のレベルによっては、現在の断面形状では駆動力が出ず使用できないことも判明し、きめ細かな対応が求められることも知られた。 (3)暑熱環境、寒冷環境下における車いすの熱測定を行った。30度の暑熱環境では金属製パイプの体感温度は25度程度、木製フレームのそれは35度程度に感じられ、座や背もたれ用ビニールクロスは45度を越すことも分かった。寒冷環境では木材の保温性が認められた。 (4)高齢者の黄変と白濁による視力低下と形態認知との関係について調べた結果、木製車いすは形態認知が可能であるが、金属製車いすでは反射光が強くなり形態認知が困難になることを突き止めた。座のクロスの色彩判読を調べた結果、淡い彩度、緑色系には誤認知があり、木質のような黄色系は認知可能であることが判明した。 (5)実用車いすの基本仕様設定が適切であるかどうか生涯在宅実験施設で実験した結果、適切であることが判明した。また生涯在宅のインテリア計画のなかでどんな傾向に木製車いすは向くのか調べた結果、ナチュラル系が特に相応しいことが判明した。
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