研究課題/領域番号 |
06660236
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中坊 徹次 京都大学, 農学部, 助教授 (20164270)
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研究分担者 |
木下 泉 京都大学, 農学部, 助手 (60225000)
田中 克 京都大学, 農学部, 教授 (20155170)
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キーワード | スズキ / 地方個体群 / 有明海 / 中国 / 形態的相違 / 低塩分耐性 / プロラクチン |
研究概要 |
平成7年度には中国産スズキと日本産スズキの学名の整理、有明海産と他の日本列島産との成魚あるいは未成魚における形態形質の比較、中国産と日本産(千葉県産)の個体群の成長に伴う低塩分適応能力の比較を行い、一応の結果を得た。 中国産スズキと日本産スズキは別種の関係にあり、これまで諸研究者によってつけられていた複数の学名を整理し、それぞれに妥当な学名を適用した。この結果は平成7年度日本水産学会秋期大会で中坊が口頭発表した。 有明海産と日本列島各地産のスズキの間には、いくつかの形態形質で有意な差がみられた。まず脊椎骨数であるが、前者のモードは35であるが、後者は36となり臀鰭軟条数は前者では平均が7.97だが後者では8.33、側線下方横列鱗数は前者では平均が20.86だが後者では20.15となっており、いずれも統計的に有意な差が検出された。 中国産と日本産(千葉県産)のスズキの成長に伴う低塩分適応能力を比較するために低塩分水での飼育実験をおこない死亡率の変化とプロラクチンの産生状態の変化を調べた。実験の結果、中国産スズキは日本産のものに比べて、低塩分化での死亡率が低く、低塩分耐性が高いことが分かった。そして、それと対応して低塩分下では中国産スズキの方が日本産のものに比べてプロラクチン比の値が高いことがわかった。これらの結果によって、生活史の初期において中国産スズキは日本産スズキよりも、より低塩分のところですごすことが推測された。 以上のことについては鋭意、論文として公表するべく準備をすすめている。
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