研究概要 |
ビタミンB_<12>を必須に要求する赤潮プランクトン、Heterosigma akashiwo,Gymnodinium mikimotoi,Skeletonema costatumについて、ビタミンB_<12>結合物質の生産性、環境要因との関連および生産の生態学的意義などを試験した。 これら3種の赤潮プランクトンはいずれも細胞外にビタミンB_<12>結合物質を排出し、その量は増殖段階、増殖条件及び種によって著しく異なった。H.akashiwoの結合物質排出量は、指数増殖期に多く、ビタミンB_<12>飢餓、低塩分によって増加する傾向が認められた。3種のうちでH.akashiwoの排出量が最も多く、定常期までの培養で培地1リットルあたり23.4〜34.7ng-B_<12>に達した。また、いずれのプランクトンも細胞内に存在するB_<12>量に匹敵する量の結合物質が存在することがわかった。 H.akashiwoが細胞外に排出した結合物質は、G.mikimotoi、S.costatumだけではなく、自分自身の増殖を抑制すること、さらにこの増殖抑制はB_<12>の過剰添加によって回復することが明らかになった。また、本藻が生産した結合物質のB_<12>結合活性は、70℃以上、pH6以下及び10以上で消失し、紫外線照射によって低下することが認められた。 このことから、これら微細藻類に存在するB_<12>結合物質はB_<12>の取り込みに関与していること、さらに細胞外に排出された結合物質は、非特異的にプランクトンのB_<12>取り込みを阻害し、その結果その後に増殖するプランクトンの種組成に影響を与えることが示唆された。
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