海水中の従属栄養細菌によるビタミンB_<12>結合物質の生産能と自然海水中におけるB_<12>結合物質の生産と分解の動態を解析した。 その結果、自然海水(浦ノ内湾)から分離した従属栄養細菌のうち、約60%がB_<12>結合物質の生産能を有し、その生産活性も植物プランクトンのそれに匹敵すること、B_<12>生産菌は特定の分類属に限定されないことがわかった。これから自然海水中の従属栄養細菌群もB_<12>結合物質生産者として重要な役割を果たしていることが明らかにされた。次に、自然海水中(浦ノ内湾)では、B_<12>結合物質の生産と分解が並行的に進行し、B_<12>結合物質の生産には植物プランクトンと細菌群の両者が寄与し、その生産速度は細菌群より、植物プランクトンが二倍程度大きいことがわかった。一方、B_<12>結合物質の分解には主として細菌群のみが寄与し、植物プランクトン群は結合態のB_<12>を分解することができず、これらをB_<12>源として利用できないことがわかった。さらに、自然海水中(浦ノ内湾)では、一日あたりのB_<12>結合物質の生産と分解が良く釣り合い、現場海水中では結合態B_<12>は二日程度の速い速度で回転していることがわかった。 前年度からの成果と総合して、これら微生物群が生産するB_<12>結合物質は赤潮発達過程において優先種の選択・遷移に寄与していることが示唆された。
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