研究概要 |
孵化直後の養殖イシダイを種々のβ-カロチン大量添加餌料(β-カロチン強化ワムシとβ-カロチン強化モイストペレット25,000μg/100g)で12カ月間飼育し,抗ウイルス性を示すγ-IFNを中心とした免疫増強機構を検討し、以下の結果を得た。 孵化後13日より約1ヵ月間、1トン当たり0.6gのβ-カロチンを強化したワムシで飼育したイシダイ稚魚の脾臓リンパ球はコンカナバリンA、ポ-クウィド-マイト-ゲン、リポポリサッカライド等の幼若化誘導因子存在下で、無添加群及び1トン当たり60g強化群に比較して高い幼若化反応を起こした。 両群の脾臓リンパ球上清中のγ-IFN産生量をマクロファージの貧食能とペルオキシダーゼ活性のから測定したところ、1トン当たり0.6g β-カロチン強化群が他の群に比較してγ-IFNを多量に産生していた。 β-カロチン強化モイストペレット(25,000μg/100g)で12カ月飼育した群の羊赤血球を抗原とする抗体産生は、β-カロチン大量投与群が無添加の対照群より高かった。 両群の飼育期間中のヘマトクリット・ヘモグロビン・血清蛋白値に有為な差は認められなかった。また、血液中β-カロチン量は大量投与群が若干高値を呈し、さらに大量投与に伴う阻害等は認められなかった。 上記検討と並行して初期餌料のワムシに対するβ-カロチン強化の条件を検討したところ、海産クロレラにβ-カロチンを添加し、室温(20〜25℃)で3〜5時間の培養がワムシの体内カロチノイド量の点で最も良好であった。
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