平成7年度に行われた研究はおもに、(1)3つのフィールド調査・実験、(2)水槽での行動学的実験に分かれる。 (1-1)平成6年度に開始した、深海かけ回し式底曳き網にポケット網とカバー網を装着した試験網を用いた操業実験を継続した。その結果、(a)エビと混獲魚類では網全体での排除部位が大きく異なる。(b)シミュレーションにより、サイズ選択性の改善で種選択性も向上すると予測できる。この結果は平成7年度日本水産学会秋季大会で口頭発表された。 (1-2)赤外線ビデオ撮影装置を試作し、深海かけ回し式底曳き網内におけるエビ・混獲魚類の行動の撮影に着手した。その結果、エビ類が見せた脱網行動のパターンはただ一つであった。この結果は1996年7月に行われる第2回世界水産会議での発表が採択されている。 (1-3)継続していた小型かけ回し式底曳き網漁船による混獲魚投棄の実態調査と、判別関数分析・重回帰分析による調査海域における投棄種・全投棄量の推定を完了した。この結果、マダイ・ヒラメの幼魚の投棄が著しく、同海域を漁場としている漁業協同組合による種苗放流尾数の17.8倍、3.4倍にのぼることが分かった。 (2)クルマエビとモエビの視運動反応を調べる水槽実験を行った結果、クルマエビの遊泳継続時間は視覚刺激の種類によって変化することが確認され、ごく微弱な視運動反応を行うと推定した。これは、ヒゲナガエビが底曳き網内でごくわずかに漁具と同航するという観察と似た結果であった。
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