ティラピアの卵巣、精巣内の神経分布について微細構造学的、免疫組織化学的方法により調べた。その結果、生殖腺内の神経は当初考えていた生殖腺前方からの侵入ではなくて、主な太い神経は後方部から進入して来ることを明らかにした。しかも、生殖腺後方部の生殖腺懸膜には、神経細胞体の集塊である神経節が存在し、そこから伸びた神経軸索が生殖腺内に侵入することを明らかにした。種々の神経伝達物質を用いて卵巣、精巣組織小片とのインキュベーションを行ない経時的に培養液中に放出されるテストステロン量を調べ、神経伝達物質のステロイドホルモン放出、抑制効果について明らかにすることを試みた。予備的実験では、卵巣、精巣片が、ノルアドレナリンによりテストステロンの放出を促すことが確かめられたが、追試ではノルアドレナリンや他の神経伝達物質でも効果は認められなかった。 生殖腺の後方から進入する太い神経の切断実験を行ない、生殖腺の発達及びステロイドホルモン産生への影響を調べることを目的として実験を行なった。神経は太い血管と伴に分布しているので神経の切断時に多量の出血により多くの魚が死亡したが、残った魚は現在飼育中で近々実験を完了する予定である。 以上の結果をまとめて投稿し、出版された。
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