研究課題/領域番号 |
06660254
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
板橋 豊 北海道大学, 水産学部, 助教授 (60142709)
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研究分担者 |
宮下 和夫 北海道大学, 水産学部, 助教授 (10182015)
松永 勝彦 北海道大学, 水産学部, 教授 (90001619)
太田 亨 北海道大学, 水産学部, 教授 (20001612)
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キーワード | Heterosigma akashiwo / Phaeodactylum tricornutum / 遊離脂肪酸 / リパーゼ / ホスホリパーゼA1 / ホスホリパーゼA2 / イコサペンタエン酸 / オクタデカテトラエン酸 |
研究概要 |
赤潮形成プランクトンや他の微細藻が産生する遊離脂肪酸(FFA)は魚介類へい死の原因物質の一つとされているが、その生成機構は不明である。本研究では、赤潮プランクトンの代表的な一種であるHeterosigma akashiwoと珪藻Phaeodactylum tricornutumの産生するFFAとFFA産生に密接に関わると考えられるリパーゼまたはホスホリパーゼA活性との関連を明らかにすることを目的とした。得られた知見は以下の通りである。 1.H.akashiwoとP.tricornutumをf/2培地を用いてバッチ培養し、増殖期と定常期前後期の試料から脂質を抽出し、FFAを定量するとともに脂質のクラス別組成を求めた。その結果、FFAは増殖期よりも定常期に多く存在し、逆に、極性脂質(リン脂質、糖脂質)は定常期に減少した。2.FFAの構造をGLC/MS分析により決定した。その結果、エイコサペンタエン酸(EPA)が両プランクトンの主要な遊離ポリエン酸成分であることを認めた。また、5位に二重結合を有する特異な非メチレンインターラプテッド型ポリエン酸を微細藻より初めて見いだし、その構造を決定した。3.EPAなどの高度不飽和脂肪酸は低温(5-10℃)で顕著に増加した。4.H.akashiwoのEPAは主要な極性脂質であるモノガラクトシルジグリセリド(MGDG)では主にsn-1位に、ホスファチジルコリン(PC)ではsn-1位とsn-2位の両位置に存在することを明らかにした。5.リパーゼ活性と基質特異性を同時に求める簡便なHPLC法を開発した。6.両プランクトンから調製したアセトン粉末に、ホスホリパーゼA1とA2活性を認めたが、リパーゼ活性は認められなかった。7.4〜6の結果から、H.akashiwoと珪藻の産生するFFA、特に遊離EPAはホスホリパーゼA1とA2の両酵素によってMGDGやPCなどの極性脂質から生成することが明らかとなった。今後、これら酵素の精製を試みる予定である。
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