平成6年度の主な成果は次の通りである。 1.十数種の魚アクトミオシンを加熱しながら動的粘弾性を測定したところ、変化のパターンはいずれの加熱温度でも極めて貯蔵弾性率の高いものや、50℃付近で低くなるもの等があり、実験に供した魚はほぼ4種類に分類された。しかし、その4種の分類された魚を見ると、志水らにより今まで報告されている"坐りやすい"とか、"戻りやすい"との分類結果と一致したものでわなかつた。 2.動的粘弾性測定結果である貯蔵弾性率と損失弾性率から求められる、tanδからゾル-ゲル転移点、さらにその転移温度を求めたが、これらの結果も1.と同様従来の報告と一致したものではなかった。このことから考えると"坐りやすい"とか"戻りやすい"等の分類は本研究で得られた、魚アクトミオシンのレオロジー的性質に基づいたものではなく、他の要因によるもと結論でき、この違いについては今後の研究を待たねばならない。 3.そこで各温度での貯蔵弾性率(G')と損失弾性率(G'')との関係を調べるてみた。その結果、70℃のG'を基準として各温度でのG'やG''との関係を調べ、ゲル化過程での貯蔵弾性率や損失弾性率の変化と、温度について見てみた。70℃でのG'の値が高いものは10℃とか30℃でのG'とG''ともに高い値となり、両者には相関関係があった。すなわち高温でのゲルの物性値は低温でのゾルの値から推定できることがわかった。
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