本研究は、かまぼこに代表される魚肉練り製品の品質が、魚種により大きく異なる。その原因を明らかにする事を目的とした。研究には、品質の善し悪しを決定するタンパク質であるミオシンを試料とし、加熱によるその構造変化と、ゲル形成能とを関連ずけて研究した。成果は以下の通りである。 1)生息温度の異なる数種の魚のミオシンの熱的安定性が、示差走査熱量計、円偏光二色性と蛍光強度測定から調べられた。 2)α-helix量の急激に減少する温度範囲と吸熱ピークの温度とよく一致していた。 3)魚ミオシンの構造はウサギのそれよりも相当不安定であった。 4)数種の魚のアクトミオシンは、30℃あるいは40℃に放置する間にa-helix量が減少した。 5)α-helixの減少する範囲やパターンは魚種間で異なっていた。 6)30℃、40℃で放置して作ったゲルの強度増加率とα-helix量の減少率との間に相関関係があった。 7)1〜6)をまとめ、魚ミオシンのα-helixの解けが坐り誘導すると結論ずけられた。
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