本年度の研究作業は専ら日本農業の生産性の推計であった。日本農業のデータベースはほぼ完成の域に達したので、本年度には本格的な実証分析を行ってきた。目下、これらの結果を用いて論文を作成中である。同時に、アメリカのデータベースをもかなりの程度まで収集を行った。しかしながら、いくらかの実証的分析を試みたところいろいろと不備な点が見つかったので、このデータベースの改善に時間とエネルギーを注いでいる。このマクロ的分析と並行して、日本と台湾の稲作における生産性の研究も進めてきた。今年度には、特に、農業におけるR&Dや普及活動が生産性に及ぼす影響について実証的研究を行った結果、興味深い結果を得た。それらは、別々の論文として書き上げた。 実証分析に用いられた日本農業のデータベースの概要は以下の様なものである。 データの集計期間は1956-90である。総生産、総投入、および総生産性を推計するために、それぞれの指数はテルンクビスト近似法によって推計した。これらのデータがまたトランスログ生産関数、費用関数、および利潤関数の推計にも使用される。このデータベースの作成に用いられた主な資料は以下のとおりである。『農家経済調査報告』、『農村物価賃金調査報告』、『作物統計』、『農林水産省統計表』、『農業・食料関連産業の経済計算』、『ポケット農林水産統計』、『国民経済計算年報』、『日本統計年鑑』『長期経済統計』、『日本長期統計総覧』などである。
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