これまで「農産物」の輸入問題を他部門線型一般均衡モデル及び非線型他部門一般均衡モデルを用いて分析してきたが、一連の研究の流れは体系外で決定される経済条件をモデルの中で決定するという経済変数の内生化の過程であった。本研究では国際間産業連関表を用いて貿易相手国をモデルの中に組込み「農産物」貿易量を内生化すること、さらには中間投入財の貿易も内生化する開放体系化の一般均衡モデル構築することを目的としている。 本年度は、応用一般均衡モデルの研究者との討議・意見交換を参考にしてモデルの構造をほぼ決定することができた。また、モデルの基礎となるベンチマークデータセットの推計と、家計部門の需要行動を線型支出体系に特定化した上で財別基礎消費量と諸弾力性の推計を行った(Estimation of Basic Expenditure: A Case study of Japan. Mimeo.)。しかしながら、中間財の貿易パターンを決定するのに必要な、国内財と輸入財の代替関係を把握する弾力性を推計するには至らなかった。 総じて、当初予定して計画に無理があったという印象ではあるが、すでに作業の完了した部分を用いてシミュレーション分析を行っており、農業就業構造の高齢化が産業構造へ及ぼす影響が重要であることを含意とする学会報告(『平成7年度・環太平洋産業連関分析学会』)を行った。なた、シミュレーションの一部は諸学会誌へ掲載予定である(裏面の研究発表を参照のこと)。
|