研究概要 |
鹿児島県垂水市漁協、牛根漁協、東町漁協を中心に研究課題に沿って調査を実施した。併せて、流通調査では東京都中央卸売市場や大手量販店等で聞き取り調査及び資料収集も実施した。、本年度研究実績の概要は以下のとおりである。 マイワシ資源、水揚状況は本年度さらに厳しく、マイワシ在庫量が急速に低下している。不足分をサンマ、コウナゴ等様々な魚種で補う動きが活発化しているが、なお生餌料全体が不足気味で、本年度産地餌料価格(マイワシ凍結もの、産地直値)はキロ単価60〜70円と急騰し、養魚経営を圧迫している。この餌料価格高騰によって、個別養魚経営は生餌料の使用割合がさらに低下し、替わって配合飼料使用割合が向上中である。配合飼料使用料に関して、配合飼料主要購入ルートが漁協・漁連でなく、配合メーカー及びその代理店であり、個別経営が具体的にどれほど使用したかを示す正確な数値把持が難しい。我々の調査では使用餌料全体の30〜60%程度を配合飼料が占めていることが明らかとなった。配合飼料への転換がいかなる経営論理で生じているのかという課題は生餌と配合飼料の増肉係数、価格格差、投餌労働力の高齢化問題(作業負荷)などが主要因であることが判明したが、複数の要因が何を主要因として他に要因と経営論理としてどのように結合しているのかといった緻密な論理整理には至っていない。 流通・市場面に関して、養殖ハマチは生餌使用ハマチと配合使用ハマチの市場評価が必ずしも行われているわけでなく、主として出荷サイズ(3,4,5キロサイズ)を軸として評価がなされ、したがって身質が卸売価格に意外と反映されていないことが明らかとなった。 なぜ、養殖ハマチについては魚体(サイズ)が価格形成の重要な要因となっているのかを養殖ハマチ価格形成メカニズムのより掘り下げた調査・分析が次年度の課題といえる。
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