マイワシ資源の水揚状況は年々減少し、95年においては100万トンをやや上回る程度にとどまった。在庫量が払底し、不足分をサンマ、コウナゴ等および輸入で補っている。また豊漁をつづけ、価格低迷が著しいシロザケの養殖餌料への転換が研究されている。しかしながら、輸入生餌については品質劣化が生じ、サケを養魚餌料へふりむける試みも、現在のところ価格面・栄養面にネックがある。生餌餌料の価格高騰により、個別経営の生餌使用割合がいっそう低下し、配合飼料使用比率が高まっている。 配合飼料使用量について、具体的に個別経営がどれほど使用したかを示す正確な数値を把握することは難しい。この研究においては、使用餌料全体がいかなる経営論理で生じているかを、養殖経営の視点から解明した。またマイワシ資源の減少が養殖生産のみならず、流通面でいかなる影響を及ぼしているかを、餌料流通と成魚流通から明らかにした。 生産原価の削減は、製品価格が低迷しているブリ養殖経営にとって最大の課題である。配合飼料はメーカー価格であるから、餌コストは成魚販売金額の増減にかかわらず固定化される傾向が強い。餌料効率をこれまで以上に向上させることが、個別経営にとって不可避である。濃度の高い餌を養殖業者がどう使いこなすかが経営のポイントであり、いっそうの養殖管理技術が要求される。マイワシ餌料不足とそれによる価格上昇が配合飼料の普及を加速させ、従来のマイワシ大量投餌型の養殖管理・経営が転換を迫られている。 イケス毎の計数管理を徹底させ、経営管理能力に優れた経営が生まれつつある。固定経費部分が上昇し損益分岐点があがるなかで、大規模経営化=企業的経営が静かに、しかし深く進行しているのである。
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