研究課題/領域番号 |
06660280
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
大原 興太郎 三重大学, 生物資源学部, 教授 (70024586)
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研究分担者 |
秋津 元輝 京都大学, 農学部, 講師 (00202531)
乗本 秀樹 三重大学, 教育学部, 助教授 (20144222)
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キーワード | 生物資源 / 多面的機能 / 地域資源 / 持続可能性 / 飼料資源 |
研究概要 |
8年度は、引き続き農業資源利用の歴史的変遷、生物系廃棄物の有効利用の可能性、中山間地における資源利用のあり方の調査研究を行うとともに、生物資源の捉え方や資源利用する人間の行為を根源的に捉える考察も加えた。 1 近現代日本の生物資源の利用管理の変遷をたどってみると、とくに経済の高度成長期までは、農林水産資源の有機的な相互関連牲、地域循環、リサイクル性あるいはカスケード利用、資源管理に関する農民の工夫、日常生活と地域資源の利用の密接性、学校教育と農林水産資源の関連性の濃さ等が明瞭に読みとれる。 2 現代における生物資源利用の一つの重要な観点は産業廃棄物化している生物系廃棄物を循環利用して再資源化を試みることである。その主要なものは家畜の排泄物であり、堆肥化利用が行われているが、そこでの課題は堆肥化技術の確立、広域流通、堆肥施用効果の解明、組織化による需給の調整・均衡、静脈産業の確立なとがあげられる。 3 現代では生物資源の利用管理上由々しき問題のある地域は耕作放棄地の増大が問題となっている中山間地である。ここではとくに利用される資源と利用する主体を共に含めた資源利用の社会システム全体が視野に入れられねばならない。島根県石見町では、高齢者の農業共同経営によって高齢労働力を地域資源維持の手段に利用すると共に、高齢者を尊厳ある生活者として捉え、自発的な地域福祉グループの形成にも役立った事例が生まれているが、これは現代的意味における生物資源の多面的利用の効果を表している 4 単なる生産的側面のみでなく、生物資源の多面的機能への注目は資源に対峙する人間サイドの問題の重要性を意味する。農村生活や消費生活の研究では、まずは「外部システムに包摂された行為」「週間・慣習に規定された行為」「演技的な行為」「農的な行為」などの生活行為の特質(タイプ)を直感をも援用しながら解釈的に把握して、活動的な生活行為をトータルにみていく必要がある。 5 最後になぜ農林水産資源でなくて生物資源なのかが問われねばならない。ほとんど同義的に使われることが多いが、農林水産資源という場合には、人間にとっての食料や生活資材などの直接的生産のための資源という意味合いが強い。これに対して生物資源という場合には、人間にとって働きかける対象でありかつ有用物としての資源保存や環境としての資源を含みうるし、また、近年大きな問題である生活環境の改善に対しても水質の浄化をはじめとして生物資源は積極的な機能を発揮し得るのである。
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