研究課題/領域番号 |
06660282
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
宇山 満 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (90176735)
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研究分担者 |
小田 滋晃 京都工芸繊維大学, 農学部, 助教授 (70169308)
濱崎 實 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (00021171)
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キーワード | 事業団制度 / 国家貿易 / 一元化輸入 / 関税割当 / 価格安定 / 在庫管理 / 資源配分 / 社会的厚生 |
研究概要 |
繭糸をめぐる事業団制度には、生糸の一元化輸入、安定価格帯の設定方法、適正在庫水準の決定、在庫運営の在り方等問題は山積している。制度そのものの抜本的見直しが迫られているが、行政改革の掛け声ばかりが響くだけで、その本質には一向に手を付けられる兆しはみられない。平成7年度から当該事業団が廃止され、畜産振興事業団に整理統合されるとの話もあったが、いつのまにか立ち消えとなってしまった。また農林水産省の蚕糸関係の部局組織の整理、つまり縮小の話も運命をたどっている。さらに、ガット・ウルグァイ・ラウンドの終了、そしてWTO体制の発足という貿易自由化の流れに対する対応でみても本質的な改善施策は全くみられない。形式的には、生糸については国家貿易制度の形を取りながらの関税化対応を、繭については関税割当制度に移行することとなっている。しかし、これらは本来暫定的措置としてなされてきたはずの一元化輸入の固定化・制度化をこの機会に行ったとしか受け取ることが出来ないものである。例えば、繭の関税割当制度への移行では、一次割当量は事業団分で現行税率140円/kg、事業団以外の輸入は二次割当量として税率2968円/kgがかけられるというように、20倍ほどの大幅はギャップをもうけ6年後でも2523円と輸入禁止的関税となっているのである。本研究においては、時間的制約、特に制度変更への対応等から、今回は歴史的制度分析と理論的分析に重点を置かざるを得なかった。これらの分析から、この事業団制度の本質は、基本的には価格安定政策と国境調整措置という2つの側面からの保護政策であると理解でき、他の農産物に関する各種の価格・貿易政策の手段との比較に大きな重点をおきながら、資源配分の効率性や公平性といった社会的厚生の観点から政策評価を定性的に行ったものである。
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