過疎地域及び特定農山村地域の指定基準の整理と、それら地域のマップを作成し、EUの指定実態との比較をおこなった。また、90年センサス区分の「都市的地域」「平地農業地域」「中間農業地域」「山間農業地域」別の統計分析により、地域農業構造の比較を行った。本年度は実態調査対象市町村において、集落別の分析を行い、過疎地域の構造と問題点を把握して、自治体の果たすべき政策課題を検討することが必要となった。 政策理論的研究に於いては、日本の新農政のもとでの「特定農山村法」と具体的事業の分析を行い、EUのLFA政策との比較をおこなった。直接的所得保障政策のわが国への導入は中央政府レベルでは未だ否定的であり、今後の検討課題となっている。しかし、北海道、東北の実態調査で過疎市町村の新規就農者への直接的に住宅無料貸与、諸経営資金補助、役場や農協の臨時的雇用対策による所得補助方式など、地方自治体の新しい政策が把握された。 そして、それら自治体の直接的所得保障政策の実行において財政問題を研究する課題が生じた。また、住民のその政策にたいする意識を把握して、自治体の果たせる限界を評価し、今後の国政レベルでの直接所得政策導入の可能性を検討する計画である。
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