射流が水理構造物下流の水叩き部を流下した場合、大規模な定常波を有する波状流が水叩き下流の移動床部で発生する。また河床低下に対応して水叩き部下流に階段型護床工の基本型である段落ち水路部を設置した場合、段落ち部に波状流が発生する。今回の研究では、移動床材料に平均直径約3.85mmの細礫を用い、射流フル-ド数2〜6の範囲、段落ち水路長50〜150cmの範囲で波状流による局所洗掘の実験を行い、以下の諸点を実験的に明らかにした。 ・移動床部上での波状流の発生は洗掘進行中でも持続され、発生条件の下流水深と射流フル-ド数の関係を明らかにした。また波状流の水面特性は急段落ち部での波状流とはほぼ同様であることを明らかにした。 ・波状流による洗掘形状の特色は、洗掘穴上流部に最大洗掘深の約2〜3倍の範囲で細礫の堆積部が生じ、最大洗掘深の生じている水平距離が遠くなっていることである。また最大洗掘深と射流フル-ド数との関係を明かにし、A跳水およびB跳水との比較検討を行った。 ・段落ち水路長と洗掘深の関係を明らかにし、段落ち水路下流で波状流およびB跳水による洗掘を防止するには、跳水表面渦長の3.5〜4倍の段落ち水路長を必要である。 ・洗掘穴内の流速特性を最大流速の逓減、流速分布形、洗掘砂礫面近傍の流速変化、平面洗掘形状の点から明らかにした。
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