本年度は実施計画に沿って以下を実施した。 1.試料土の採土:岩手大学農学部附属滝沢農場の心土(火山灰質粘性土)、花巻市沖積水田心土(粘土)。 2.実験装置の準備:背圧を加えることができる密閉型圧密装置を製作した。圧密装置に歪ゲージ式の変位計、ロードセル、間隙水圧計を取り付けた。これら測定された信号はA/D変換され、パソコンに取り込み、新たに開発したデータロガープログラムによって自動記録される。また、この圧密装置を用いて、透水係数の測定も可能である。 3.実験の実施と解析:上記の装置によりまず供試土の一次および二次圧密特性を把握し、以下の実験を行った。 (1)圧密と透水性の関係:圧密荷重と透水係数の関係。 (2)圧密供試体の間隙径分布:圧密荷重0.8〜12.8kgf/cm^2の各段階において、一次圧密終了、二次圧密途中、二次圧密終了時の試料を凍結乾燥し、水銀圧入法により微細から粗大にいたる広範囲で間隙径と間隙体積の関係を求めた。また、水銀圧入法は2回侵入法を用い、全間隙、自由間隙、封入間隙を分離した。その結果、圧密荷重の増加に伴って間隙が圧縮し微細化、消滅する実態が明確に示された。一部の荷重段階では封入間隙が自由間隙に転化することも明らかになった。時間との関係では、一次圧密では相対的に粗大な封入間隙が圧縮され、二次圧密ではより微細な自由間隙が圧縮されることが明きらかとなった。 4.次年度への課題:圧密装置にさらに改良を加え、自動制御化する。また、透水試験の自動化、高精度化をはかり、より理想的な条件で実験を実施する。全体のとりまとめを行う。
|