本研究は、アロフェンやイモゴライトの粒子表面の荷電状態が、平衡外液のpHを変えることにより変化する性質を利用して、粘土粒子の荷電状態と水分吸着特性の関係を解明するものである。 今年度、我々は純粋なアロフェンを用いて、風乾による水分特性の変化、荷電状態による水分特性の変化を調べ、アロフェンの水分特性が荷電状態によって変化することを確かめた。アロフェンの水分特性は、風乾によって、風乾土から十分小さなコロイド分を取り出してた場合でも、20-30%低下した。また、荷電状態によって、pF3以下で水分特性曲線が変化した。この境界のpFのとき、最密充填を仮定して求めた粒子間の最短距離は3.1 nmであった。さらに、分散状態にあるアロフェンは、pF2.7以下の脱水に対して可逆的に変化するが、凝集状態にあるアロフェンは、不可逆的に変化する事などがわかった。 アロフェンの粒子内部間隙の水の存在状態を、真比重、加熱による質量変化、水分吸着特性などから測定した結果、アロフェンの粒子内部間隙の水は105℃で抜けていると判断された。しかし、明瞭な水の出入りを示す兆候がこの前後で見られないので、アロフェン内部間隙の水の存在状態に関して明らかにすべき未解明の問題点があることを認識した。 今後、引き続き荷電状態(pH)と飽和イオンの種類を変えたアロフェンとイモゴライトの水分吸着特性、EGME吸着特性について実験的に考察したい。また、モンモリロナイトとカオリナイトについて、飽和イオンの違いによる水分吸着特性やEGME吸着特性を調べ、アロフェンやイモゴライトで得られる結果がどこまで一般化できるかを確かめたい。
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