1.観測取水塔の選定と観測体制 補助金交付の内定通知を受けて、地震観測を行う観測取水塔をどこに設定するかの選定を行った。関東農政局管内でおよそ10個のダムが候補になったが、(1)取水塔へのアクセスが容易なこと(管理橋が設置されていること)、(2)本学から近いこと、(3)ある程度規模の大きなもの、の三条件で選定し、水資源開発公団、房総導水路建設事業で建設された「長柄ダム」(千葉県長生郡長柄町)の取水塔を選定した。本ダムの取水塔は鉄筋コンクリート正方形断面の塔状構造で基礎部を含めた高さは41mである。現在のダム管理者である水資源開発公団・房総導水路建設所に長期観測の許可を依頼し、地震計が調達された平成7年2月に観測の取り決め文書を同建設所と交わした。こうして平成7年2月1日に地震計を当該取水塔頂部機械室に設置し、現在観測体制に入っているが、現在までに有力な記録は得られていない。 2.地震計の選定と発注 本観測で当初予定していた地震計は交付予算内で購入することが不可能となったので、記録部を電子メモリー方式にしてコストダウンを図った新型機の製作を計器メーカーに依頼した。その仮発注は平成6年7月であったが、新製品のため計器の製作に時間を要し、実際納入できたのは、平成7年2月1日となった1。購入した計器は1MBメモリーを有する3成分ディジタル加速度計である。 3.研究の進捗 対象とする取水塔が選択された時点で、解析作業に入った。有限要素曲げ梁要素モデルを用い取水塔を何種類かの仮定した剛性や質量の分布のもとで固有振動解析を行った。その結果は得られているが、これは今後の実測データとの検証により仮定の正当性の検証が加えられなければならない。
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