研究概要 |
1.地震観測 「長柄ダム」の鉄筋コンクリート取水塔、機械室に昨年度設置した地震計により平成7年8月迄に10個の地震記録を観測した。そのうち8個はM<5.0であり、記録の最大加速度値も10galであった。'96,7.3の相模湾地震はM=5.6震央距離=60kmで当該取水塔では42galの最大加速度を記録した。又'96,7.8の東海道はるか沖地震はM=6.2であったが震央距離=310kmであり、当該取水塔での記録は3gal程度にしかならなかった。よって7月3日の記録を用いて昨年度に作成したモデルの検証に用いることとした。 2.ダム地震記録の利用 当該取水塔はその入力地震波を規定すべき地震計を設置していない。よって代替え入力波として「長柄ダム」本体に埋設されている地震計のうち、基盤部の記録を用いる事とした。記録の入手には「水資源開発公団・房総道水路建設所」に依頼し、協力を得た。この地震によるダム天端の最大加速度は、水平で最大32galであり、取水塔のほうがより大きな加速度応答を示す事が分かった。又基盤部の水平最大加速度は8galであった。 3.応答計算による検証 昨年度、予備解析で作成した曲げ剪断振動モデルとこれに基礎のロッキング振動を加えた2種類のモデルを作成した。但しこれらの弾性定数の確定が不明瞭であった、1.で得た応答計算の周波数分析から、取水塔の固有周期が判明したので、実際の固有周期と合致する1次固有周期を生み出す弾性定数を決定した。その結果、曲げ剪断振動モデルではモード減衰は極めて小さく、5%以下であることが判明した。そしてパワスペクトル面で応答解析結果を実測に近似させる事はかなりの程度で可能なことが判明した。
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