研究概要 |
1.地震観測 「長柄ダム」の鉄筋コンクリート取水塔の機械室に平成6年2月に設置した地震計により平成7年7月迄に10個の地震を記録した。そのうち8個はM<6.0であり記録の最大加速度も10gal以下であった。'95.7.3の相模湾地震はM=5.6,震央距離=60kmで当該取水塔では42galの水平最大加速度を記録した。'95.7.8の東海道はるか沖地震はM=6.2であったが震央距離が300km以上で大きな加速度を示さなかった。よって7月3日の記録を用いて平成6年度に作成した数理モデルの解析を行った。 2.ダム地震記録の利用 当取水塔にはその入力波として規定できるデータを観測する地震計を有していない。よって代替入力波として「長柄ダム」本体に埋設されている地震計のうちの最礎部の記録を用いることとした。記録の入手は「水資源開発公団房総導水路建設所」に依頼し、協力を得た。この地震によるダム尺端の最大水平加速度は32galであり、取水塔の方が大きな加速度応答を示すことが分かった。 3.応答計算による検証 平成6年度の予備解析で作成した曲げせん震動モデルと、これに基礎のロッキング震動を加えたロッキング振動モデルで検証を行った。これらの弾性定数は、1.で得た地震記録の周波数分析から取水塔の固有固胞が卓越しているので、これが得られるような弾性定数を決定した。その結果、曲げせん断振動モデルでは、モード減衰は極めて小さく、5%以下と想定された。また代替入力波を用いての応答計算による加速度波は、時刻歴において一致させるのは困難だが、統計量において一致させることはかなりの程度で可能だと判明した。またロッキング振動モデルは、曲げせん断振動モデルより大きな応答を与えることも判明した。
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